ベニー・グリーン「Back On The Scene」 1958年3月、ブルーノートでの初リーダー作。 参加メンバーは、チャーリー・ラウズ(ts)、ジョー・ナイト(p) ジョージ・タッカー(b)、ルイス・ヘイズ(ds) グリーンのトロンボーンとラウズのテナーは、どこか似ているような気がする。 楽器は違うが、温かみのあるどこか朴訥としたスタイルがそう感じさせるのかもしれない。
GERRY MULLIGANの「NIGHT LIGHTS」 先回とりあげた「WHAT IS THERE TO SAY」の2年前1963年録音。 先回のカルテットにジム・ホール(g)、ボブ・ブルックマイヤー(tb)他が加わってる。 マリガンではおそらく一番の(?)人気盤でしょう。 多くの人を引きつけているのは、バリトン、ペット、トロンボーンのおりなすミディアム・スローテンポな体に染み渡る演奏にあると思います。夜の静けさの中をあたかも何かの主人公になってさまよい歩いている…そんな光景を想像してしまいます。 全体を通してマイナーでリラグゼーションの要素が強い演奏で、アドリブな演奏を期待している諸氏には物足りないアルバムかもしれませんが、マリガンがピアノもクラリネットも…とその多才振りを発揮しているのも聞きものです。 ジャケットも今の都会の夜景と見まちがえるほど、センスにあふれまた曲の内容に合った素晴らしいジャケです。
THE GERRY MULLIGAN QUARTETから「WHAT IS THERE TO SAY」 ジェリー・マリガンは、1952年、チェット・ベイカーらとピアノレス・カルテットを結成し、当時のウエストコースト・ジャズを盛り上げました。リズムセッションにはピアノが当たり前のようにあったジャズの世界では、画期的な出来事だったようです。ピアノをはずしたリズムの上にトランペットとバリトンサックスの2本のホーンで紡ぎだす対位的なインタープレイと斬新なサウンドが当時のジェリー・マリガン・カルテットの特徴です。 その時から10年以上経った1965年にトランペットにアート・ファーマーを加えてコロンビアから出たのがこのアルバムです。 メンバーは、ジェリー・マリガン(bs)、アート・ファーマー(tp)、 ビル・クロウ(b)、ディブ・ベイリー(ds) ベースのクロウは、その著書「さよならバードランド」のなかで、このアルバムのことを少し書いています。 1958年ごろからコロンビア・レコードのための吹込みを始めて、ジェリーが家で曲を書けないので、クロウのアパートでこの「WHAT IS THER TO SAY」を書き上げて、それがアルバムのタイトルになったこと、 ジェリーからアートとクロウに何か作曲してくれと頼まれ、それぞれ1 曲ずつ書いたことなど・・・ (3曲目の「NEWS FROM BLUEPORT」がクロウの曲、6曲目の「BLUEPORT」がアートの曲です) 1枚のアルバムを作るのにこうしたエピソードが当時のメンバーから分かるのは面白いですね。 さて、やはり聴きどころは、アートの柔らかく優しいソフトなペットと マリガンのバリトン・サックスのナイーブな優しさにあふれた音色のからみあいです。 4曲目の「FESTIVE MINOR」がお気に入りです。この曲は1963年録音の 「NIGHT LIGHTS」でも演奏していますが、ギターのジム・ホールが加わった演奏になっています。聴き比べてみるのも面白いかもしれません。 僕はシンプルさでどちらかというとこちらの方が好きです。 6曲目の「MY FUNNY VALENTINE」アートのペットがテーマを切々と歌い上げていきます。 静かな夜に聴くひとときの幸せを感じます。
ズートの「TONIGHT`S MUSIC TODAY」 ズートは1925年10月生まれ。30~31歳の1956年に8枚のアルバムを録音する。 まさに油の乗った現役バリバリ、のりのりの年代。 なかでも、ボブ・ブルックマイヤーと組んだアルバムを56年の1月から 2月にかけて3枚も録音している。 DAWNから「THE MODERN ART OF JAZZ VOL.1」 STORYVILLEから「TONIGHT`S MUSIC TODAY」と「WHOOEEE」の2枚。 そのうち「WHOOEEE」は持っていないので残念ですが、あとの2枚はそれぞれスイング感にあふれ、バラード風な演奏も取り混ぜて甲乙つけがたいアルバムになっています。